庭コラム
季節を楽しむ、自然とつながるひとときを。
庭と器と私の時間
梅雨模様、しとしとといつまでも降り止まない雨。ふと庭の紫陽花を見ると、雨の雫を受け止めて、花びらの上に真珠のような水玉となっています。梅雨の季節、紫陽花のような#庭マグをご紹介します。
今回ご紹介するのは、長崎県の佐世保市にある、三川内焼・平戸藤祥五光窯の結晶釉のマグです。
約400年続く三川内焼は、かつては平戸藩の御用窯として幕府への献上品や南蛮貿易の輸出品として歴史を重ね、国の「伝統的工芸品」、2016年には「日本遺産」として認定されています。
その中で培われた高度な技術は現在でも受け継がれ、きめ細かい磁肌とその純白の素地に映える鮮やかな藍色の呉須による絵付けの繊細さ、そして透し彫りや捻り物など精巧・緻密な細工が三川内焼の特徴とされています。それらは、三川内の製土(白磁の土を精製すること)技術があったからこそ生まれました。
そのひとつに、卵の殻のように薄い、極薄手磁器「卵殻手(らんかくで)」があります。高度な技術を必要とするため、現在三川内だけでなく日本でも、卵殻手を作ることのできる窯は少なく、その中において五光窯は、唯一手ろくろで作陶しています。とても研究熱心な窯主・藤本岳英さんは、その土をもとに改良し、このマグの美しい結晶が浮かび上がる土を生み出しました。
その土を使い、いろんな表現ができる結晶釉薬の中から、淡く丸い真珠のように輝く印象のものを目指して作陶しているそうです。ひとつひとつの水玉文様にも、様々な研究の積み重ねが詰まっているのですね。
雨上がりの庭に出て、西海路の空の青さや木々の緑を思い浮かべながら、梅雨の晴れ間のティータイムをお楽しみください。
写真 / 田口 昭充 文 / 松坂 香里
Made in Japanセレクトショップの先駆けである『THE COVER NIPPON』をディレクション。デザイナー・バイヤーの両視点を活かし、産地のブランディングや商品開発、店舗や展示会のコーディネート・PRなど幅広い領域で活動。日本のモノづくりを未来に繋げるために、つくり手とつかい手を繋いでいる。
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