庭コラム
日々の暮らしや住空間に物足りなさを感じているなら、“庭”で解決できるかもしれません。
庭を活用した自然とつながるライフスタイル、そこには豊かな生活や素敵な時間を過ごすヒントがあります。
日本各地の庭づくりのプロフェッショナルに聞きました。
庭がもたらす豊かなライフスタイルや、自分らしい庭づくりのヒントなど、日本各地で活躍する庭のプロフェッショナルに聞きました。
庭という場所は、ご家族や住まわれる方々が幸せを感じられる場所だと思っています。庭があることでご家族のコミュニケーションが生まれ、自然と触れ合う機会ができ、美しい景観を楽しむことができます。そうして日々の生活を楽しんでいただけるような空間をサポートするのが我々の仕事。お客様ができるだけ快適でより理想的な生活が送れるように空間を考えています。日本では“庭を整える”ということに対して「贅沢なんじゃないか」「身の丈にあってない」と感じている方がまだまだ多いように感じます。しかし、庭という場所は、うまく整えることで、ご家族にとってかけがえのない大切な空間になりえるものだと考えます。毎日、接する身近な場所であるからこそ、庭を豊かにすることで、ライフスタイルそのものも豊かになっていくのではないでしょうか。
私はお客様に「モノではなくコトを売る」というスタンス。庭にサンルームを備えるとリビングが整然とするのです。実際のお客様の中にも、このような現象に後から気づき驚かれた方を多く見てきました。そもそもサンルームは、庭に向かって張り出すように備えるもの。ゆえに部屋が一つ増えたと感じられるのがメリットだろうと考えるので、リビングとの関係性に思いが及びません。それまでリビング内に溢れていた子どものオモチャや、ご主人の趣味の道具をサンルームに置いてみると、思いの外リビングがすっきりするのです。多くのお客様は、およそサンルームだけを眺め、自宅の庭に備える喜びを想像されます。しかし私たちは、その先にある生活の改善を提案します。サンルームが存在することによって、リビングルームがこれまで以上に大活躍するという訳です。
都市部で暮らす方の中には、そもそも十分な庭のスペースが取れない方も多いかもしれません。そんな場合でも決してあきらめる必要はないと思います。庭として十分なスペースが1階にとれない場合、最近増えているのは2階や3階にサンルームを設置するという考え方。現在の都市部の住宅は1階をガレージにして、リビングは2階に設計されているものも多く、そのため2階のバルコニースペースが大きく取られている住宅が増えています。そこにサンルームをつくることで、「わざわざ1階に降りて庭に出るよりも、リビングの延長スペースとして、2階にサンルームをつくりたい。」という方が増えています。庭空間は自由に発想できる。都市部のエリアでは、ご紹介したような空中庭園のような庭の楽しみ方もあるかもしれません。
今すぐではないにしても、在宅で仕事ができるようになってくると、住まいの中に自然というものがもっと取り入れられていくと思います。今、都会で仕事をしている人々がオフィスにグリーンを求めるのと同じように、これから先はより身近に自然がある土地で仕事をしたり、緑に囲まれた環境で仕事をするようになったりするのではないでしょうか。これまで通勤に使っていた時間の一部でも庭の手入れに使えるようになったら、もっと植物を植えてみたいと思う人が出てきてもおかしくないと思います。自然と共生し生きているものから日々エネルギーをもらうというライフスタイル。1日24時間という限られた時間の中で、少しでも自然に手をかける時間を持つことで、人間の脳はリラックスできると思います。
私たち専門家に庭の相談をいただく際、ご予算のことを含め、ぜひ本音で話していただきたいと思います。お客様の中には、正直に話してしまうと高く見積もられてしまうのではないかと、言い出せない方も少なくないかもしれません。最近のお客様は、色々と調べてからご来店される方も多いのですが、私たちはお客様のリクエストに見合った庭の作り方やご予算に応じたリーズナブルなご提案をすることも可能です。また、ご予算が足りない場合はまずは一番やりたいところから手を付け、最初にできなかった分は二期工事にしてみては? といったアドバイスもさせていただけます。庭の知識がない方もぜひ気にせず、私たち専門家に相談してみてください。
自然は良いものですが、それと同じくらい私が大切にしているのは快適で居心地良い空間であるかかどうかということ。庭において雑草は切実な問題だと思います。草抜きの時間や手間を考えれば必然的にローメンテナンスなしつらえになる。そして、デザインの傾向はミニマルが主流。例えば車も大きくて派手なスタイルがかっこいいと思われていた時代から、今は高機能でコンパクトなものが求められている。時代が車にせよ、建築にせよ余計なものは削ぎ落して高機能でコンパクト、シンプルというものを求めているという意味で、庭もそうした方向性に向かっているのは確かです。ライフスタイル全体の統一感に配慮してこそ、機能的で居心地の良い庭が完成すると考えています。
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