庭コラム
人の心や身体に庭がもたらしてくれる効果とは何なのか?
科学的視点からの庭のメリットを専門家のお話しやデータとともにご紹介します。
「自然に癒される」とか「森林浴が疲労回復に良い」と言われていますが、果たして「庭」もそのような効果があるのでしょうか?
諸外国に比べて家事・育児の分担が女性に偏りがちな日本。母親の精神的疲労はとても大きく、「家事や育児から離れて自由な時間が欲しい」という声も聞こえてきます。ここでは、母親が抱えるストレスに着目し、心を回復させる空間としての「庭」について紐解きます。
同志社大学卒業、2005年同大学院にて心理学博士号を取得。相模女子大学にて講師、准教授を経て、2016年より現職。主な専門は環境心理学、感情心理学。回復的環境を構成する要素についての探求、より安心・安全な環境を構築するための研究を主なテーマに様々な学会委発表を行う。
芝田征司先生が研究している「注意回復論」によれば、心理的な回復のためには「逃避」、「魅了」、「広がり」、「適合」という要素のいずれかを満たすと効果的といいます。
中でも特に注目すべきが「逃避」。ここで言う逃避とは、「逃げだす(Escape)」ではなく、「離れる(Being away)」という意味で、日常の雑多なストレスや喧騒などから物理的にも心理的にも離れることが最も効果的とのこと。忙しさでストレスが溜まっていると感じた時は、仕事や家事・育児を放棄するのではなく、我慢しつづけるのでもなく、思い切って一時的に忘れられる場所に身を置いて、ぼーっとすることで回復するのです。
芝田先生が行った実験では、植物と集中力の回復に関係があることが証明されています。
実験の参加者を観葉植物が置かれた部屋と置かれていない部屋にわけて集中力をつかう作業を行ってもらい、植物が作業による精神疲労の回復に与える影響を検証。ぞれぞれの環境で途中に休憩を挟みながら作業を行ってもらったところ、植物なしの環境では疲労により正確性に欠け、休憩後は、植物ありの環境の方がなしの環境をはっきり上回る正確性がみとめられました。視界に植物のあることが、集中力の回復によい影響を与えたと推測できます。
注意力の回復には、窓からふと目にするようなちょっとした自然の眺めでも効果があります。これを「小さな回復体験」と呼び、ほんの束の間気を逸らすだけの短い時間であっても、日常的に自由に行えると良いとされます。実感できないほど小さな回復であっても、それが積み重なることで効果を発揮するのです。
ストレス解消のためにわざわざ森林に出かけなくても、植物のある自宅の庭で充分なのです。いつでも自分の好きな時間に自由に息抜きができる自宅の庭は、まさに小さな回復を積み重ねるための最適な場所です。
ストレスが溜まっているなと感じたら、自分らしさを取り戻すために、すぐそこにある「庭」を活用してみてはいかがでしょうか。
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