皆さんは、毎日家に帰ってきたとき「今日も無事だった」と安心していませんか?
実は日本では、空き巣や強盗の被害が年間約8万件も発生しています。防犯のプロとして多くの方の相談に乗ってきた私の経験から、誰もが被害に遭うリスクがあることをお伝えしたいと思います。
でも、心配はいりません。正しい知識があれば、しっかりと対策できます。
今回は、空き巣・強盗に狙われやすい家の特徴と、効果的な対策法についてご説明します。
なぜ空き巣・強盗は特定の家を狙うのか?
犯人が「この家なら簡単だ」と判断する3つの理由
皆さんは「お金持ちの家が狙われやすい」と思っていませんか?実はそれは大きな誤解です。空き巣や強盗が本当に重視するのは、「捕まりにくい家」なのです。私が警察や防犯の専門家から聞いた話では、犯人たちは「金品の有無」よりも「安全に犯行を済ませられるか」を重視する傾向があります。
まず1つ目の理由は「周囲の目」です。実際に捕まった侵入窃盗犯への調査によると、約6割が「声をかけられたから」という理由で犯行をあきらめています。つまり、近所づきあいが活発な地域は、犯人にとって避けたい場所となるわけです。
2つ目の理由は「防犯設備の有無」です。防犯カメラやセンサーライトが設置されていない家、窓や玄関の鍵が簡単に開けられそうな家は、犯人にとって格好のターゲットとなります。特に古い家屋に多い「一重の鍵」だけの玄関は要注意です。
3つ目の理由は「生活パターンの見えやすさ」です。留守が多い家や、住人の出入りが少なく見える家は特に狙われやすくなります。郵便物や新聞がたまっていたり、夜間に明かりが点いていない家は、犯人にとって「今が狙い目」というサインになってしまいます。
注目すべきは、最近増加している「闇バイト」の存在です。SNSなどで簡単に勧誘され、安易な気持ちで空き巣や強盗に加担してしまうケースが社会問題となっています。このような犯罪者は、経験が浅い分、より簡単に侵入できそうな家を選ぶ傾向があります。
でも、心配しすぎる必要はありません。これらの特徴を知り、適切な対策を取ることで、被害のリスクを大きく下げることができます。次のセクションでは、より具体的な「狙われやすい家の共通点」について見ていきましょう。
意外と知らない!犯人目線で見た「狙いやすい家」の共通点
「自分の家は大丈夫」と思っていても、実は犯人から見ると格好のターゲットになっているかもしれません。私が防犯カメラの設置相談を受けた際によく耳にするのが、「まさか自分の家が」という言葉です。ここでは、犯人目線から見た狙いやすい家の特徴をお伝えします。
まず注目したいのは「無防備な外観」です。これは必ずしも豪華な家という意味ではありません。防犯カメラがなく、窓や玄関の鍵が簡単に開けられそうな状態の家が、最も狙われやすい特徴の一つとなっています。特に1階の窓に補助錠がない家は、犯人にとって侵入しやすいポイントとなります。
次に気をつけたいのは「人の出入りが少ない家」です。犯罪者は、狙う家の生活パターンを必ず観察します。例えば、日中に誰もいない時間が長い家や、郵便物が溜まっているなど、留守が分かりやすい家は危険です。また、夜になっても明かりが点かない家も、不在を示すサインとして捉えられてしまいます。
さらに要注意なのが「周囲の目が届かない家」です。塀が高すぎたり、植木が生い茂りすぎていたりして、近所から家の様子が見えにくい状況は避けたほうが良いでしょう。実は、きれいに手入れされた庭でも、視界を遮る植栽が多いと、犯人が身を隠すのに便利な環境となってしまいます。
また、意外かもしれませんが、「豪華な外観や生活スタイルが見える家」も要注意です。高級車が駐車されていたり、高価な家具が窓から見えたりする家は、金品があると予想されて標的になりやすくなります。特に、SNSで頻繁に旅行写真を投稿するなど、生活スタイルが外部から分かりやすい場合は注意が必要です。
最近では、訪問業者を装った下見も増えています。事前連絡のない訪問や、正当な理由を示さずに家の中に入ろうとする業者には特に警戒が必要です。また、電話やメールで家族構成や在宅時間を探るような質問をされた場合は、詐欺や強盗の下見の可能性も考えられます。
これらの特徴は、一つ一つは些細に見えるかもしれません。しかし、複数の特徴が重なると、犯罪者にとって「これは狙いやすい」というシグナルになってしまいます。次のセクションでは、このような特徴を持つ家を、どのように改善していけば良いのかについて見ていきましょう。
要注意!空き巣・強盗が下見で確認するポイント
あなたの家は大丈夫?犯人が下見時にチェックする5つのサイン
空き巣や強盗は、必ず事前に下見を行います。私が防犯相談を受けた被害者の方々からも、「事前に不審な人物を見かけていた」という話をよく耳にします。ここでは、犯人が下見の際にチェックする重要なポイントをご説明します。
留守の時間帯
1番目のポイントは「留守の時間帯」です。犯人は、家族の生活パターンを入念に観察します。特に注目されるのが平日の日中、午前10時から午後2時までの時間帯です。この時間帯は、多くの家庭で家人が不在になりやすく、近所の目も比較的少ないため、最も空き巣被害が多い時間帯となっています。
家族構成
2番目は「家族構成」です。郵便受けの名前や、洗濯物の様子から、どんな人が住んでいるのかを推測します。例えば、女性の一人暮らしや高齢者世帯は、抵抗が少ないと判断され、特に狙われやすくなります。最近の調査では、一人暮らしの高齢者を狙った空き巣被害が、過去5年間で約15%増加しているというデータもあります。
侵入経路の確認
3番目は「侵入経路の確認」です。窓や扉の種類、施錠の状態、防犯カメラやセンサーライトの有無などをチェックします。特に気をつけたいのが、植木や塀で周囲から見えにくい場所です。このような場所があると、犯人が侵入経路を落ち着いて確認できてしまいます。
近所付き合いの様子
4番目は「近所付き合いの様子」です。挨拶を交わす人が多い地域や、お互いの家を気にかけ合っている地域は、犯人にとって避けたい場所となります。逆に、住民同士の交流が少ない地域は、不審者が現れても気づかれにくいため、狙われやすくなります。
防犯意識の高さ
5番目は「防犯意識の高さ」です。例えば、新聞や郵便物が溜まっていないか、夜間の照明は適切か、窓や玄関の施錠は確実かなどをチェックします。これらの基本的な防犯対策が疎かになっている家は、「防犯意識が低い」と判断され、ターゲットとなりやすいのです。
特に最近は、宅配業者や工事業者を装って下見を行うケースも増えています。突然の訪問者に対しては、必要以上に家の中の様子や家族構成について話さないよう注意が必要です。また、電話での不審な問い合わせにも要注意です。「在宅時間を教えてほしい」といった質問には、安易に答えないようにしましょう。
これらのサインを知っておくことで、不審な動きに早めに気づくことができます。次のセクションでは、最近増加している闇バイトが関与する空き巣・強盗の手口について詳しく見ていきましょう。
最近増加中!闇バイトが関与する空き巣・強盗の手口と対策
近年、特に警戒が必要なのが「闇バイト」による空き巣・強盗被害です。私たち防犯の専門家が特に懸念しているのが、SNSを通じて簡単に勧誘される若者たちです。「簡単に稼げる」という甘い言葉に誘われ、気づいたら重大な犯罪に加担してしまうケースが増えています。
闇バイトに関与する犯罪者の特徴は、経験が浅く計画性に欠けることです。そのため、通常の空き巣や強盗犯と比べて、より単純で分かりやすい標的を選ぶ傾向があります。例えば、玄関の鍵が一重だけの家や、1階の窓に補助錠がない家を狙うことが多いのです。
この種の犯罪で特徴的なのが、SNSを活用した下見方法です。ターゲットとなる家庭のSNSをチェックし、旅行や外出の予定を把握します。「旅行に行ってきます!」といった何気ない投稿が、犯罪者にとって絶好の機会を知らせる情報となってしまうのです。
また、宅配業者や点検業者を装って家の中の様子を確認するケースも増えています。特に注意が必要なのが、事前連絡のない突然の訪問です。正当な理由を示さずに家の中に入ろうとしたり、必要以上に家族構成や在宅時間を聞いてきたりする場合は要注意です。
闇バイトによる犯行の多くは、複数人で行われることも特徴です。一人が見張り役となり、もう一人が侵入するというパターンが一般的です。そのため、不審な人物を見かけた場合は、その周辺にも共犯者がいないか注意を払う必要があります。
対策として最も効果的なのが、防犯カメラの設置です。ただし、設置するだけでなく、しっかりと見える場所に配置することが重要です。闇バイトに関与する犯罪者は、防犯カメラを見ただけで犯行を諦めることが多いからです。
さらに重要なのが、SNSの使い方の見直しです。旅行の写真や投稿は、帰宅後にすることをお勧めします。また、自宅の外観が写り込んだ写真や、家族構成が分かるような情報の投稿は控えめにしましょう。
不審な訪問者への対応も重要です。インターホン越しの応対を基本とし、むやみに玄関を開けないようにしましょう。また、身分証明書の提示を求め、会社に確認の電話を入れるなど、慎重な対応を心がけることが大切です。
このように、闇バイトに関連する犯罪は、従来の空き巣・強盗とは異なる特徴を持っています。次のセクションでは、これらの被害から身を守るための具体的な対策方法について詳しく見ていきましょう。
空き巣・強盗被害を防ぐ!効果的な対策方法
プロが推奨する!すぐにできる具体的な防犯対策とは
防犯のプロとして、多くの方々の相談に乗ってきた経験から、すぐに実践できる効果的な対策をご紹介します。特に重要なのは、複数の対策を組み合わせることです。一つ一つは単純な対策でも、それらを重ねることで高い防犯効果を発揮します。
まず取り組みたいのが「施錠の見直し」です。玄関は必ずワンドアツーロック(二つ以上の鍵)にしましょう。最新の調査では、空き巣被害の約15%が無施錠や一重の鍵の家で発生しています。特に注意したいのが、在宅中の施錠です。「家にいるから大丈夫」という考えは非常に危険です。
窓の防犯対策も重要です。一階の窓には必ず補助錠を取り付けましょう。最近では、取り付けが簡単で費用も手頃な補助錠が多く販売されています。また、窓ガラスに防犯フィルムを貼ることで、割られにくく、割られても破片が飛び散りにくくなります。
防犯設備の導入も効果的です。特にお勧めなのが防犯カメラとセンサーライトの組み合わせです。最新のデータによると、これらの設備を導入している家庭は、そうでない家庭と比べて侵入被害のリスクが約70%も低下します。防犯カメラは玄関付近だけでなく、侵入されやすい窓の周辺にも設置すると効果的です。
庭や通路の整備も見落としがちですが、重要な対策の一つです。植木は定期的に剪定し、家の周囲から死角をなくすことが大切です。また、敷地内に砂利を敷くことで、侵入者の足音が聞こえやすくなります。この「音」による抑止効果は、意外と高いものです。
留守対策も忘れずに行いましょう。新聞や郵便物は必ず整理し、長期不在時は配達を止めるか、知人に預かってもらいましょう。最近では、スマートフォンで操作できるタイマー式のライトも販売されています。これを活用すれば、不在時でも在宅しているように見せることができます。
宅配ボックスの活用も有効です。最近では、強盗犯が宅配業者を装うケースが増えています。宅配ボックスを利用すれば、在宅時でも対面せずに荷物を受け取ることができ、安全です。また、「置き配」で荷物が放置されることも防げます。
これらの対策は、決して特別なものではありません。日々の小さな心がけの積み重ねが、大きな防犯効果を生み出すのです。次のセクションでは、もう一つの重要な防犯対策である「近所付き合い」について詳しく見ていきましょう。
近所付き合いが防犯に効果的な理由と築き方
防犯対策の中でも特に効果が高いのが、実は「近所付き合い」です。私が防犯相談を受けた際、被害に遭わなかった地域に共通していたのが、この良好な近所付き合いでした。侵入窃盗犯への調査でも、約6割が「声をかけられた」ことで犯行を諦めたと答えています。
なぜ近所付き合いが防犯に効果的なのでしょうか。それは「地域の目」が増えるからです。例えば、普段から挨拶を交わす関係があれば、不審者が現れた際にすぐに気づくことができます。また、住民同士で情報を共有することで、地域全体の防犯意識が高まります。
具体的な近所付き合いの始め方をご紹介します。まずは、出会った際の挨拶から始めましょう。「おはようございます」「こんにちは」という簡単な挨拶でも、コミュニケーションの第一歩となります。特に新しく引っ越してきた方は、積極的に挨拶を交わすことをお勧めします。
次に効果的なのが、地域の行事への参加です。町内会や自治会の活動、防災訓練などに参加することで、自然と顔見知りが増えていきます。最近では、SNSを活用した地域コミュニティも増えています。こういったオンラインのつながりも、防犯に役立つ情報共有の場となります。
留守時の協力体制も重要です。長期の旅行や外出の際は、信頼できる近所の方に声をかけておくと安心です。例えば、「郵便物がたまっていたら回収してほしい」「夜に電気をつけてほしい」といった簡単な協力でも、防犯効果は高くなります。
また、子どもの見守り活動も近所付き合いを深める良い機会です。登下校時の見守りや、公園での遊び見守りなど、子どもの安全を地域で守る活動は、住民同士のつながりを自然と強めていきます。
最近では「向こう三軒両隣」という言葉が改めて注目されています。これは、自分の家の前後左右の家と良好な関係を築くことを意味します。このような小さな範囲から始めて、徐々に輪を広げていくのが理想的です。
ただし、プライバシーにも配慮が必要です。必要以上に個人情報を共有したり、過度に干渉したりすることは避けましょう。お互いの生活リズムや価値観を尊重しながら、適度な距離感を保つことが、長続きする近所付き合いのコツです。
このように、近所付き合いは防犯対策の要となります。次のセクションでは、実際に被害を未然に防いだ家庭の事例から、効果的な対策のポイントを学んでいきましょう。
被害に遭わないために知っておくべきこと
実例から学ぶ!被害を未然に防いだ家庭の共通点
防犯のプロとして多くの相談を受けてきた中で、実際に空き巣や強盗の被害を防いだ家庭には、いくつかの共通点がありました。これらの実例から学ぶことで、より効果的な防犯対策を実現できます。
印象的だったのは、東京都在住のAさん宅の事例です。深夜、何者かが窓から侵入しようとした際、すぐに気付くことができました。なぜ気付けたのでしょうか。それは、敷地内に砂利を敷いていたため、不審者の足音が聞こえたからです。さらに、センサーライトが点灯したことで不審者は慌てて逃走。この組み合わせが効果的だったのです。
また、神奈川県のBさん宅では、留守中に不審者が玄関を物色していた際、向かいに住むお隣さんが声をかけてくれたことで、被害を防ぐことができました。日頃から近所付き合いを大切にしていたことが、防犯につながった良い例です。
大阪府のCさん宅では、宅配業者を装った不審者の訪問がありました。しかし、防犯カメラの存在に気付いた不審者はすぐに立ち去りました。さらに、カメラの映像を警察に提供することで、同様の手口による被害の防止にも役立ちました。
埼玉県のDさん宅は、窓の補助錠が功を奏した事例です。深夜、何者かが窓を開けようとしましたが、補助錠があったため諦めて立ち去りました。「たった数千円の投資で、大切な財産と安全を守ることができた」とDさんは話しています。
特に注目したいのが、これらの家庭に共通する「防犯の習慣化」です。例えば、在宅中でも確実に施錠を行う、夜間は必ずセンサーライトをONにする、見知らぬ訪問者には必ずインターホン越しで対応するなど、基本的な対策を日課として実践していました。
また、これらの家庭では家族全員が防犯意識を共有していたことも重要です。子どもたちにも、なぜ施錠が大切なのか、見知らぬ人にはどう対応すべきかなど、年齢に応じた防犯教育を行っていました。
さらに、地域のコミュニティとの連携も特徴的でした。町内会の防犯パトロールへの参加や、防犯情報のLINEグループへの加入など、積極的に地域の防犯活動に関わっていました。
これらの実例から分かるのは、「備えあれば憂いなし」という言葉の重要性です。次のセクションでは、私たちがよく陥りがちな防犯対策の誤解について見ていきましょう。
よくある誤解!「これで安心」と思い込んでいる危険な習慣
防犯対策において、思い込みや誤解は大きな危険を招きかねません。私が防犯相談を受けた際、多くの方が「これで十分安心」と思い込んでいた習慣について、具体的にお話しします。
最も多い誤解が「昼間は鍵をかけなくても大丈夫」という考えです。実は、空き巣被害の約半数が昼間の時間帯に発生しています。「日中は人が多いから安全」という思い込みは非常に危険です。犯人は逆に、昼間の方が「仕事中で不在」と判断しやすく、近所の人も「業者さんかな?」と疑わない傾向があります。
次によくある誤解は「防犯カメラを付けただけで安心」という考えです。確かに防犯カメラは効果的な対策ですが、それだけでは不十分です。見えにくい場所に死角があったり、夜間の撮影が不鮮明だったりすることも。また、カメラの存在を隠そうとして目立たない場所に設置するのも逆効果です。防犯カメラは、しっかりと見える位置に設置してこそ、抑止効果を発揮します。
「ご近所付き合いは面倒だから、機械での対策だけで十分」という考えも要注意です。どんなに優れた防犯システムでも、地域の目には及びません。実際の犯罪者の証言でも、「近所の人に声をかけられるのが一番怖い」という話が多く聞かれます。
「留守を悟られないように、カーテンを閉めっぱなしにする」という対策も、実は逆効果です。長期間カーテンの状態が変わらないことは、かえって不在のサインとなってしまいます。普段の生活感が見えるような、自然な状態を保つことが大切です。
SNSの使い方にも注意が必要です。「鍵付きアカウントだから安全」と思い込んでいる方も多いですが、フォロワーの中に知らない人が紛れ込んでいる可能性もあります。特に旅行の投稿は、帰宅後にすることをお勧めします。
さらに「高額な防犯設備を導入すれば完璧」という考えも危険です。実は、防犯対策で最も重要なのは「継続的な習慣」です。高価な設備よりも、確実な施錠やこまめな見回りなど、基本的な対策を毎日続けることの方が効果的なのです。
これらの誤解に気づき、適切な対策に切り替えることで、防犯効果は大きく向上します。次のセクションでは、最新の防犯技術を活用した、より効果的な対策方法について見ていきましょう。
最新技術で家族を守る
最新の防犯システムと導入時の注意点
防犯技術は日々進化しており、2024年には特に注目すべき新しいシステムが登場しています。ここでは、最新の防犯システムとその効果的な活用方法についてお話しします。
最も注目されているのがAI搭載型の防犯カメラです。従来の防犯カメラと違い、AIが人の動きを学習することで、不審な行動を自動的に検知できます。例えば、深夜に何度も同じ場所を行き来する人物や、窓の周りをうろつく不審者を検知すると、すぐにスマートフォンに通知が届きます。
ただし、AI防犯カメラを導入する際は設置場所が重要です。私がよく相談を受けるのが「せっかく高性能なカメラを付けたのに、木の枝が邪魔で死角ができてしまう」というケース。設置前に死角となる場所がないか、昼と夜で見え方が変わらないかなど、しっかりと確認することが大切です。
次に注目なのが、スマートロックです。暗証番号や指紋認証、顔認証など、複数の認証方式を組み合わせることで、ピッキングのリスクを大幅に減らすことができます。また、スマートフォンと連動することで、外出先からでも鍵の施錠状態を確認できる便利さも魅力です。
ただし、スマートロックは便利な反面、電池切れや通信トラブルのリスクもあります。そのため、必ず通常の鍵と併用できるタイプを選ぶことをお勧めします。また、暗証番号は定期的に変更し、同じ番号を長期間使用しないよう注意が必要です。
最新の防犯システムには、環境センサーも組み込まれています。火災や水漏れ、ガス漏れなどを検知し、異常があればすぐに通知してくれます。防犯だけでなく、災害対策としても有効です。
また、宅配ボックスも進化しています。顔認証機能付きの最新モデルでは、宅配業者が荷物を届けた瞬間の画像が記録され、スマートフォンに通知されます。不審者が宅配業者を装って侵入しようとするケースへの対策として効果的です。
ただし、これらの最新システムを導入する際は、必ずメーカーのサポート体制を確認しましょう。導入後のアフターフォローや、トラブル時の対応が充実しているかどうかは、安心して使い続けるために重要なポイントです。
次のセクションでは、これらの最新機器をより効果的に活用するための選び方とポイントについて詳しく見ていきましょう。
スマート化する防犯機器の選び方と活用法
スマート防犯機器は便利な反面、選び方を間違えると思わぬトラブルの原因となります。防犯のプロとして、多くの方のご相談に乗ってきた経験から、効果的な選び方と活用法をご紹介します。
まず重要なのが、自宅の環境に合った機器選びです。例えば、マンションとひのき家では必要な機能が異なります。マンションの場合、玄関周りの防犯が中心となりますが、一戸建ては窓やベランダなど、より多くの侵入ポイントに注意が必要です。
スマート防犯カメラを選ぶ際のポイントは、映像の保存方法です。クラウド保存型は手軽ですが、月額料金が発生します。一方、SDカード保存型は初期費用のみですが、定期的なメンテナンスが必要です。また、夜間の撮影能力も重要なポイント。最新のモデルは暗視機能が大幅に向上しており、月明かり程度の明るさでもカラー撮影が可能です。
スマートロックの選択では、認証方式に注目しましょう。指紋認証は便利ですが、冬場は手袋をしていると使いづらいことも。暗証番号式は覚えやすい反面、他人に見られるリスクもあります。最近は、スマートフォンの接近を検知して自動で解錠するモデルも人気です。
一方で、防犯機器のスマート化には注意点もあります。特に気をつけたいのが、サイバーセキュリティです。Wi-Fi接続型の機器は、必ず強固なパスワードを設定し、定期的にファームウェアを更新することが大切です。また、スマートフォンを紛失した際のリスクも考慮し、遠隔でアクセス権を無効化できる機能があるかどうかも確認しましょう。
活用方法としては、複数の機器を連携させることをお勧めします。例えば、スマートロックと防犯カメラを連動させれば、誰がいつ出入りしたかを映像で確認できます。また、センサーライトと連携させることで、不審者が近づいた際の撮影効果も高まります。
特に注目したいのが、家族での共有機能です。最新のシステムは、家族それぞれのスマートフォンで状況を確認できます。子どもの帰宅確認や、高齢の両親の見守りにも活用できるのです。
ただし、便利な機能に頼りすぎるのは禁物です。システムトラブルに備えて、従来型の防犯対策(確実な施錠、近所付き合いなど)も継続することが大切です。スマート防犯機器は、あくまでも既存の防犯対策を補完するものと考えましょう。
これまでご紹介した内容をもとに、ご自身の環境に合った防犯対策を組み立ててみてください。最後のセクションでは、これまでの内容を総括し、明日からできる具体的な対策についてまとめていきます。
まとめ:明日からできる防犯対策
防犯のプロとしてこれまでお伝えしてきた内容を、実践的なポイントとしてまとめます。空き巣・強盗の被害から家族を守るためには、正しい知識と適切な対策の組み合わせが重要です。
「自分は大丈夫」という思い込みが最も危険です。実は犯罪者は、お金持ちの家よりも「侵入しやすい家」を狙う傾向があります。特に注意が必要なのは、無防備な外観、人の出入りが少ない家、周囲の目が届かない環境といった特徴です。
日々の防犯対策として、まず取り組んでいただきたいのが基本的な習慣づくりです。在宅中でも確実な施錠を行う、見知らぬ訪問者にはインターホン越しで対応する、郵便物はこまめに回収するなど、小さな心がけを積み重ねることが大切です。
近所付き合いの重要性も忘れてはいけません。実際の調査でも、約6割の犯罪者が「声をかけられた」ことで犯行を諦めています。地域のコミュニティに参加し、顔の見える関係を築くことは、非常に効果的な防犯対策となります。
最近増加している「闇バイト」による犯罪にも注意が必要です。SNSでの情報発信には十分気をつけ、特に旅行情報は帰宅後に投稿するなど、慎重な対応を心がけましょう。
防犯設備の導入も効果的です。特に防犯カメラやスマートロックなどの最新技術は、使い方を理解し適切に活用することで、大きな防犯効果を発揮します。ただし、機械に頼りすぎず、従来型の対策と組み合わせることが重要です。
最後に、家族全員で防犯意識を共有することをお勧めします。子どもから高齢者まで、それぞれの年齢に応じた防犯教育を行い、家族全体で安全な生活環境を作っていきましょう。
日本の治安は世界的に見ても良好ですが、だからこそ油断は禁物です。この記事で学んだ対策を一つずつ実践し、大切な家族と財産を守っていただければ幸いです。
何か気になることがありましたら、防犯の専門家に相談することをお勧めします。地域の警察署や防犯設備士などが、具体的なアドバイスを提供してくれます。明日からでも、できることから始めてみましょう。